2004/04/26 第一回卒論指導 松本千穂
1.中央競馬、地方競馬の組織の違い
中央競馬の主催者は、「特殊法人 日本中央競馬会」であり、役員は理事長1人、副理事長1人、理事10人以内及び監事3人以内という構成である。所在地は、東京都西新宿にあり、資本金は49億2412万9千円であり、政府が全額出資している。職員数は1,910人である。法人格としては、日本中央競馬会法(昭和29年7月1日法律第205号)に基づく特殊法人である。公共性の強い法人で農林水産大臣の監督下に置かれている。
設立の目的は、日本中央競馬会法第1条に規定され、「競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため」とされているが、近年の競馬施行の社会的意義は国民的レジャーを提供することに移行しているといえる。ここでの、国民的レジャーというものは、単なるギャンブルとしての競馬ではなく、大人も子供も誰もが楽しむ事が出来るものではないだろうか。レジャーはその名の示すとおり、余暇、また、それを使ってする娯楽のことである。競馬場には、馬という動物や都会の中の森林ともいえる多くの自然がある。それを生かす運営が必要とされている。
競馬法は昭和23年、また日本中央競馬会法は昭和29年に制定されたが、その後、ファン数は大幅に増加し、発売金も飛躍的に増大するとともに、一般の人々の競馬に対する理解と関心も年々高まってきた。そうした状況の下で、平成3年に、時代の要請に的確に応えた事業運営を行うことにより、将来にわたる中央競馬の安定的な発展を確固たるものとするため、競馬の公正確保の強化と競馬の収益の一層の有効活用を図る法律改正(競馬法および日本中央競馬会法の一部改正)が行われた。だが、その後の不況等のあおりを受け、勝ち馬投票券(馬券)の売り上げが減少。その事に対応するため、複数レースの勝ち馬を同時に当て、高額配当の出る可能性のある「重勝式」馬券導入などを盛り込んだ競馬法改正案を、2004年4月20日、参院農林水産委員会が可決した。21日の参院本会議で採決する。参院通過後に衆議院に送るが、審議日程は未定である。また、同改正案案には、日本中央競馬会(JRA)と地方競馬が連携し、どちらでも両方の馬券が購入できるよう、馬券の委託販売を認める。学生でも20歳以上なら馬券を購入できるよう制限を緩和する。政府は、来年1月から施行するため今国会での成立を目指しているようだ。
2.地方競馬
地方競馬の主催者は、道県3(北海道、栃木県、石川県)、市2(金沢市、福山市)、一部事務組合13(北海道市営競馬組合、岩手県競馬組合、群馬県競馬組合、埼玉県浦和競馬組合、千葉県競馬組合、特別区競馬組合、神奈川県川崎競馬組合、岐阜県地方競馬組合、愛知県競馬組合、兵庫県競馬組合、高知県競馬組合、佐賀県競馬組合、荒尾競馬組合)の計18ヶ所。また、競馬場は全国に24カ所存在する。統括機関として、地方競馬全国協会(NRA)がある。NRAは地方競馬全国協会(NAR)は、「地方競馬の公正かつ円滑な実施の推進を図るとともに、馬の改良増殖その他畜産の振興に資すること」を目的とし、競馬法に基づく特殊法人として、昭和37年8月1日に設立された。
地方競馬は、当時競馬ファンが増加にしたことにより、競馬事業によって財政の補填になるのではないかという地方自治体の思惑から始まったとされている。なぜ、競馬施行が財政の補填になるのかというと、投票者による勝馬投票券の購入額のうち約75%を的中者に払い戻します。残りの約25%は、競馬開催のために必要な賞金等の経費、地方競馬全国協会への交付金、公営企業金融公庫への納付金などに充てられ、残りが主催者の収益金となるためである。また、この控除率は中央競馬会も同一である。地方競馬主催者の収益金は、その地域の教育・文化の発展や社会福祉の増進、医療の普及やスポーツの振興、都市計画その他公共施設の整備などに使われる。地方競馬全国協会への交付金は、馬の改良増殖その他畜産の振興のための事業に対する補助金として使われる第1号交付金と、馬主及び馬の登録、調教師・騎手の免許及び騎手等の養成など、地方競馬の公正かつ円滑な実施のための事業に使われる第2号交付金がある。公営企業金融公庫に対する納付金は、地方自治体が行う上下水道の整備事業や地域開発事業等のために、公庫が自治体に貸し出す資金の貸付利率を引き下げるために使われている。そのため、勝馬投票券の売上が上がれば上がるほど、地方公共団体にとっては競馬は格好の財源であったわけである。しかし、バブル経済崩壊以降、10年連続で売上が低下し「打ち出の小槌」と言われた地方競馬は「お荷物」とされてしまった。競馬場で働く従業員の地位は、総務省見解により、「地方公務員法第22条な2項ないし5項で任用された一般職の臨時の地方公務員であり、第57条の単純な労務に雇用されるものに該当する。」とされている。しかし、定年制度や、永年勤続表彰制度など様々な有利な雇用条件の下働いているといえる。中には、公務員より賃金が高いのだから、もっと賃金を下げろという意見もあるという。確かに、競馬場の従業員は、有利な立場にいるのかもしれない。しかし、勤務日数や勤務内容の厳しさを考えるとこの意見を無条件で賛成というわけにはいかない。こういった、従業員の雇用問題等も、地方競馬が抱える問題の一つであろう。
主催者名 |
競馬場名 |
北海道 |
旭川 |
門別 |
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札幌 |
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北海道市営競馬組合 |
北見 |
岩見沢 |
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帯広 |
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旭川 |
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岩手県競馬組合 |
盛岡 |
水沢 |
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栃木県 |
宇都宮 |
群馬県競馬組合 |
高崎 |
埼玉県浦和競馬組合 |
浦和 |
千葉県競馬組合 |
船橋 |
特別区競馬組合 |
大井 |
神奈川県川崎競馬組合 |
川崎 |
石川県 |
金沢 |
金沢市 |
|
岐阜県地方競馬組合 |
笠松 |
愛知県競馬組合 |
名古屋 |
中京 |
|
兵庫県競馬組合 |
園田 |
姫路 |
|
福山市 |
福山 |
高知県競馬組合 |
高知 |
佐賀県競馬組合 |
佐賀 |
荒尾競馬組合 |
荒尾 |